経営力向上ハンズオン支援~企業インタビュー(株式会社河内様)

株式会社河内 代表取締役社長 後河内心平様
後河内社長が抱いてきた思いは、「社員一人ひとりが、自ら考えて動く会社をつくりたい」というものでした。
創業期から続く文化を尊重しながらも、次代の経営者として組織をどう進化させるべきか——。
その問いに向き合うなかで、「共通の考え方」としての行動指針づくりが大きなテーマとして浮かび上がりました。
財団による伴走支援を活用しながら、行動指針の策定プロセスには全社員が参画。
結果として117件の率直な意見が集まり、当社にはこれまでにない変化の兆しが生まれています。
本記事では、理念づくりの背景やプロセス、社内に生まれた変化、そして伴走支援の価値について、後河内社長の言葉とともに振り返ります。
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1. 「社員が自律的に動ける会社に」——株式会社河内が抱えていた本質課題
後河内社長は就任以来、創業から培われてきた企業文化と価値観を引き継ぎながら、新しい体制を構築することを志向していましたが、社長就任後の2年間は、自身が経営者としての目線を養う期間と位置づけておられました。
そこでまずは後河内社長が頭の中で構想される中長期方針の言語化・可視化をサポートしました。
そして、事業環境の変化や働き手の価値観の多様化が進むなか、従来のトップダウン型の運営ではなく、従業員とともに会社を作り上げたいという強い思いを具体化するため、「社員一人ひとりが自律的に動ける組織」を目指す “共通の考え方”として行動指針を就任3期目に明文化することを決定、その策定プロセスを財団が伴走支援しました。
2. 外部からの適度な刺激——変化の兆し
行動指針を策定する上で、幹部の方を巻き込んで進めていくことを提案し、まずは幹部向けに経営理念などに関する勉強会を実施しました。その勉強会に対しては賛否や戸惑いの声もあったそうです。
「財団さんだからというわけではなくて、経営理念など自体に対して、半分ないし3分の1くらいは(反応がイマイチな方が)いたと思います。ただ“良いきっかけ”になったと思います。
同じことを社長から説明するよりは、外部研修の形を取ることで意義を正しく伝えることができ、結果として理解も深まりました。」
財団は中立的な立場でサポートしつつ、押し付けや強制にならないかたちで勉強会をはじめとした情報提供、期初に行う全体集会での行動指針発表を見据えた進捗管理等のサポートを行いました。
3. 117件の声が動きを変えた——行動指針づくりと社内の変化
今回の取り組みで特に印象的だったのが、117件もの意見や提案が集まったことです。
口頭での発言ではなかなか声が出ない社員も、「アンケートを書いて提出する」というスタイルに変えることで、思っていたことを素直に出すことができたといいます。
「こんなに出てくるとは正直思っていませんでした。みんなが何かしら思っていることを出せたことが大きいです。」
全社員参画型のプロセスをとることで、社員それぞれに当事者意識が醸成され、多くの意見が集まり、後河内社長は取りまとめ役に徹することになりました。
取りまとめた行動指針は、「河内の八雲(仮)」として社内ポータルで共有され、推進メンバーが中心となって改善や発信を少しずつ進めています。社内カレンダーの整備、イベント情報の整理など、日常の小さな不便を解消する動きも社員から自然に生まれてきました。
まだ会社全体に浸透しているわけではありません。しかし、動き始めた社員の存在が、確かな前進に繋がっています。
「浸透のスピードは、従業員一人ひとりでグラデーションがあります。ただ、こういう取組を率先的にやろうと思ってくれる人は評価してあげたいと思っていますし、そういう人たちに引っ張ってもらって会社に深く浸透させていく手法がおそらくいいんだろうなと思います。
推進メンバーに任せている状態なので、浸透に向けて試行錯誤しながらチャレンジしてもらって、達成感に繋がってほしいです。」
4. 今期中に形にし、3〜5年で磨く——理念は“育てるもの”
株式会社河内では、行動指針を今期中に形にする方針を掲げています。ただし、後河内社長は「一度つくったら終わり」にはしません。
「『今の経営理念や行動指針を今期中には取りまとめたいよね』と取りまとめ役の執行役と話をしています。
(今の行動指針は、)みんなから出てきた意見を一旦ジャンル分けした状態です。これがある程度定着してきたら、3〜5年かけて、もっと磨いてレベルが高いものにしていきたいです。」
すでに推進メンバーの主体的な動きが始まっており、今後は研修やワークショップなど、現場から自然にアイデアが生まれる仕組みづくりにも期待しているといいます。
事業承継フェーズの企業にとって、理念の存在は“経営の軸”となり、組織文化の言語化にもつながります。株式会社河内では、それらを社員とともに育てるプロセスを大切にしています。
5.財団の伴走支援について——「業務的でない外部性」が浸透を後押し
財団が関わることで社員の心理的ハードルが大きく下がった点があるといいます。
後河内社長はこう話します。
「伴走支援を受けてみて本当に良かったと思います。第三者の目と声が入ること、うちの場合工場が出雲にあって、“しまね産業振興財団”さんが支援っていう風になると説得力が全然違います。」
「財団さんの関わりは良い意味で“業務感がない”、そして利害関係がないからこそ本当に“支援してくれる”感があります。以前から一定の関係がある組織なので、言語化しにくい部分で現場の社員も抵抗が少ない。これはありがたかったですね。」
財団は、“企業側と利害関係などが生まれない中立的な外部者”として機能し、社員にとっても、経営者にとっても、安心して声を出せる場をつくる存在となりました。
こうした「近すぎず、遠すぎない外部性」が、理念づくりと行動指針の議論を前向きに進める大きな後押しとなりました。
■ 結び
株式会社河内の取り組みは、自律型社員の育成を行う際、まず「意見が安全に出せる環境」や「共通の考え方」を整える必要があることを示しています。
財団の伴走支援は、外部としての中立的な立ち位置から、社員の声を引き出し、組織の対話を促す“きっかけ”になりました。
117件の声が象徴するように、社員は本来、多くの考えや視点を持っています。それが可視化され、形になり、今まさに株式会社河内では“自律型の組織風土づくり”が進み始めています。
本記事が、同じように組織づくりに取り組む中小製造業の経営者のみなさまにとって、ヒントやきっかけになれば幸いです。

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